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『左ぎっちょの正ちゃん』小川未明

文字文学

『左ぎっちょの正ちゃん』小川未明

文字にまつわる小説・随筆などを青空文庫収録作品から一冊にまとめた『文字文学 Ⅲ』(type.center 編)掲載作品から小川未明の『左ぎっちょの正ちゃん』冒頭部分をご紹介いたします。


左ぎっちょの正ちゃん

小川未明

 まさちゃんは、ひだりぎっちょで、はしをつにも左手ひだりてです。まりをげるのにも、右手みぎてでなくて左手ひだりてです。
まさちゃんは、ひだりピッチャーだね。」と、みんなにいわれました。

けれど、学校がっこうのお習字しゅうじは、どうしても右手みぎてでなくてはいけませんので、お習字しゅうじのときはみょうつきをして、ふでちました。最初さいしょ鉛筆えんぴつ左手ひだりてでしたが、かたちへんになってしまうので、これも右手みぎてくせをつけたのです。

かあさんは、こまってしまいました。
「はやく、右手みぎてくせをつけなければ。」と、ごはんのときに、とりわけやかましくいわれました。すると、おとうさんが、
ひだりききを無理むりみぎききになおすと、めくらになるとか、あたまわるくなるとか、新聞しんぶんいてあったよ。だから、しぜんのままにしておいたほうがいいのじゃないか。」と、おっしゃいました。

こう、はなしが二つにわかれると、まさちゃんは、いったいどうしたらいいのでしょうか。それで、つまり、学校がっこうくときには、鉛筆えんぴつや、ふで右手みぎてち、またお弁当べんとうをたべたり、おうちでみんなといっしょに、おぜんかってごはんをたべるときは、はしを左手ひだりてってもやかましくいわぬということになったのです。そして、もとより、はらっぱで、まりをげるときは、ひだりピッチャーで、威張いばってよかったのでした。


つづきは『文字文学 Ⅲ』にて。BCCKSの機能を利用して、このままお読みいただくことができます。


他の作品も一冊にまとめた『文字文学 Ⅲ』は、各電子書籍ストアで配信されているほか、BCCKSでの電子書籍版『文字文学 Ⅲ』の閲覧は無料、文庫本サイズの紙本を注文し購入することもできます。収録作品はtype.center bcck storeでご覧いただけます。文学であじわう文字をお楽しみください。

2018年9月3日

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type.center編集部

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