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とにかくすべてが「文字」だらけ 「字字字 大日本タイポ組合」展

展覧会レヴュー

とにかくすべてが「文字」だらけ 「字字字 大日本タイポ組合」展

とにかくすべてが「文字」だらけ

「字字字 大日本タイポ組合」展

すべて「字」だと思ったほうがいい。――展覧会の話である。

秀親と塚田哲也の2人による大日本タイポ組合の展覧会「字字字」がギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中だ。1993年に結成されたこのタイポグラフィ集団は、日本語だろうがアルファベットだろうがとにかくあらゆる文字を解体し、再構築して、あたらしい文字をつくりだしてしまう。文字のなかに別の文字の形を見出し、思いもよらない意味をそこに築きあげていく。なにより、そこに笑いがある。とことん遊び抜かれたあたらしい文字を前に、見るひとは自然に笑顔になる。

「字字字」展は、そんな2人が、とにかくすべてを字にしてしまった展覧会だ。そのこだわりようは、常軌を逸している。

写真:藤塚光政

たとえば、ステージが全部「g」でできているパックマン。モンスターの目も「g」だ。透明なアクリルの「字」が重ね合わされた「字 by 字」は、「字」のパーツの一部に色をつけ重ねあわせることにより、「漢」などの“字に関わる文字”が組み上がる。「字」を塗りつぶしたり変形させて仮名にしてしまった「ggg sans」は、源ノ角ゴシックの派生フォント。ゆくゆくはダウンロードできるようにするらしい。YMCそれぞれの色が重なったときに初めてアルファベットとして認識できる「すばらしいYMC!」、箱の展開図が大文字小文字のアルファベットやカタカナになるようにつくられた「Box Font」……フォント、グラフィック、ウェブアプリ、立体と、とにかく幅広い。漢字のなかからその読みとなるカナを見つけ出すというような、思わずニヤリとさせられる作品も多い。

字にされているのは作品だけではない。すべてといったら、すべてなのだ。ベンチも床も壁も……、果ては階数表示や看板まで。すべてに目を配って楽しんでほしい。

写真:藤塚光政

タイトルが示すとおり、本当に「字」だらけの展覧会だったと思い返しながらフライヤーをしげしげと眺める。「第351回 ギンザ・グラフィック・ギャラリー企画展」「ggg」「2015年11月4日(水)→28日(土)」「大日本タイポ組合」青で刷られたこれらの文字が、マゼンタと白インキを駆使して、ある部分には付け足され、ある部分は消されて、すべてが「字」に仕立てあげられている。よくやったなあ……と青をつぶしている白インキを眺めていて叫んでしまった。え、まさか、そんな。この白インキですら、すべて「Gじジ」のかたちになっているではないか。思わず舌を巻いた。

字字字ポスター

デザイン:大日本タイポ組合

ひとつのテーマに徹底することの凄み、テーマを狭く絞り込むことで広がる豊かな世界。なにより、彼らが全力で遊び倒しているこの空間を、ぜひ味わってみてほしい。


2015年11月16日

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人物プロフィール

大日本タイポ組合

秀親と塚田哲也の2人で1993年に結成。日本語やアルファベットなどの文字を解体し、 組み合わせ、再構築することによって、新しい文字の概念を探る実験的タイポグラフィ集団。 文字通りモジモジしながら文字で遊んで21年。 ロンドン、 バルセロナ、東京にて個展を開催。 シンガポール、香港、韓国などでの企画展に参加。 2012年古堅まさひこと共に日本科学未来館にて「字作字演展」を 開催。TokyoTDC会員。

展覧会レヴュー

雪 朱里

ライター、編集者。1971年生まれ。武蔵大学人文学部日本文化学科卒業。写植からDTPへの移行期に印刷会社に在籍後、専門誌編集長を経て、2000年よりフリーランス。文字、デザイン、印刷、手仕事やくらしの歴史などの分野を中心に、ものづくりに携わる人々への取材執筆活動を行なっている。著書に『描き文字のデザイン』『もじ部 書体デザイナーに聞くデザインの背景・フォント選びと使い方のコツ』(グラフィック社)、『文字をつくる 9人の書体デザイナー』(誠文堂新光社)、編集・執筆等を手がけた書籍に『一〇〇年目の書体づくり 「秀英体 平成の大改刻」の記録』(大日本印刷)、『活字地金彫刻師 清水金之助』、編集担当書籍に『ぼくのつくった書体の話』(小塚昌彦著/グラフィック社)ほか多数。2011年2月より『デザインのひきだし』誌(グラフィック社)のレギュラー編集者も務める。

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