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第154回受賞作を大予想!(前編)

本文用紙と書体で予想する芥川賞&直木賞

第154回受賞作を大予想!(前編)

2016年1月19日に第154回芥川賞および直木賞、二大文学賞の受賞作が発表されます。文芸評論家の方々をはじめ各方面で受賞作予想が行なわれていますが、そんな中で異彩を放つ予想をしているのが、毎回もんのすごいブツとしての存在感を醸し出している雑誌『デザインのひきだし』の編集長、津田淳子さんによる「本文用紙による受賞作予想」です。津田さんに、どのようにして本文用紙から受賞作を予想するのか伺いながら、その予想に乗っかりつつ、「文字」のサイトならではの、書体による受賞作を予想してみたいと思います!

この紙…、受賞の匂いがするッ!

津田さんは、紙に関してはとっても詳しいですよね? どうやって見分けをつけるんですか?

芥川賞と直木賞。私は内容ももちろん気になるんですが、どうしても紙や造本など、本の「側(がわ)」のことも気になってしまって、どんな紙が使われてるのかな―などと目を凝らして、ときにはクンクン匂いをかいでじっくり眺め回しています。この匂いをかぐというのは紙の銘柄を探るときにはけっこう有効な手段で、私はよくかいでいます。特に白やクリーム色の本文用紙は、似たものが多くて銘柄特定が難しいので、この匂いは重要なヒントになるんです。まあ、単に紙の匂いが好きってこともあるんですが。

ほ、ほう…匂いですか。それで、芥川賞、直木賞を予想しはじめたのはいつ頃ですか?

数年前、芥川賞と直木賞の候補作をほぼ読んでいたときがあって、そのとき手元にある候補作書籍を見て、「何の紙が使われてるのかな?」と調べてみたくなって、見本帳と突き合わせながら特定していきました。特定できたものを一覧にしてみて、ほほーと思っていたんですが、受賞発表を聞いて驚いたのが、どちらも王子製紙の紙で、その年の本屋大賞をとったのも王子製紙だったということにきがついたこと。おおお、王子製紙が三冠達成か!と他の人にはない感動を覚えたのでした。

それはちょっとアガりますね。

それ以降、なんとなく候補作が出そろうと紙を調べていて、その流れから「今回はこの本文用紙が使われた本が受賞するんではないか?」などと予想をするようになったんです。

だんだん傾向と対策のようなものが見えてきた、と。

でもこれ、ひとりで予測して、ひとりで結果を見てニヤニヤしてると、単に気持ち悪い人ってことになりそうで、いくら紙好きでもそれはどうかと自問自答し、Twitterに軽く予想を書き込むようになりました。そしてそれが結構あたってたりして。

けっこう反響ありましたもんね。潜在的にそういう趣向を持つ人がいるもかもしれません(笑)。今回こうしてtype.centerでも取り上げさせてもらって、さらに便乗して書体でも予想してみようかと思ったりしてるわけですし。

第153回芥川賞『火花』と直木賞『流』は見事的中!

ところで、前回の直木賞、芥川賞は両方とも受賞作をあてましたね!

そうなんです! 芥川賞の『火花』と直木賞の『流』をズバリと。まあ細かく言えば、芥川賞はもう一作あったし、『火花』が受賞するんではというのはだれしもが思っていたことで、それも心理的にかなり影響しているとも思うんですが(しかも『花火』って間違えてるし)、直木賞の方は[ソリストN]という紙が受賞するに違いないと思っていたところでホントにあたったので、私自身も驚きつつ嬉しかったです。どうして[ソリストN]が来そうかと思ったのかは、まあ直感としか言いようがないんでどうにも格好つかないんですが。

やっぱり匂いですかね(笑)。ということで、今回の候補作の本文用紙と書体を見ながら、受賞作の予想を立ててみましょうか。次のページへどうぞ!

2016年1月18日

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人物プロフィール

津田淳子

編集者。1974年神奈川県生まれ。編集プロダクション、出版社を経て、2005年にグラフィック社入社。2007年『デザインのひきだし』を創刊する。デザイン、印刷、紙、加工に傾倒し、それらに関する書籍を日々編集中。
http://dhikidashi.exblog.jp/

本文用紙と書体で予想する芥川賞&直木賞

塚田哲也

大日本タイポ組合のひとり。新世界タイポ研究会のメンバーでもある。ソロ活動として、デザイン関連ダジャレコンテスト「グッドデザイソ」をtwitter上で開催中。

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第156回芥川賞&直木賞の発表まであと数日。もはや恒例となったこの企画。今回も候補作から『デザインのひきだし』編集長、津田淳子さんによる「本文用紙による受賞作予想」うかがいました! さらに「書体による受賞作予想」も行っています、さてさて今回はどうなるでしょうか!?
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