文字による文字のための文字のサイト

type.center

K2「グラフィックが創り出すデザインの力」

モリサワ文字文化フォーラム 「文字とデザインVol.6」

K2「グラフィックが創り出すデザインの力」

1月22日に開催された、モリサワ文字文化フォーラム「文字とデザインVol.6」。会場となった大阪・モリサワ本社4階大ホールにはおよそ180名が聴講に駆け、さらにサテライト会場の東京本社会場にもおよそ50名が参加。セッション1の大日本タイポ組合「文字が創り出すデザインの力」に続き、K2の二人によるセッションをお届けする。

モリサワ本社4階大ホール 会場の様子

今回は、K2の長友啓典氏、黒田征太郎氏、大日本タイポ組合の秀親氏、塚田哲也氏、司会にデザイン団トンネルの鈴木信輔氏、樋口寛人氏を迎え、K2、大日本タイポ組合のこれまでの活動から「グラフィックと文字が創り出すデザインの力」を振り返り、「デザインが果たすこれからの役割」をテーマに、講演と対談が行われた。

【セッション2】

K2「グラフィックが創り出すデザインの力」

K2(アートディレクター・長友啓典氏 イラストレーター・黒田征太郎氏)

K2のセッション2では、イラストレーター・黒田征太郎とアートディレクター・長友啓典の絶妙な役割分担の中から生まれる作品を通じて、ユニットとして互いに刺激し合うその関係性に迫った。

「早川良雄先生の事務所で最初に声をかけてくれたのが黒田で、それからもう60年が経つ」と長友氏。スクリーンには椿組のポスターが映し出された。このポスターを作るきっかけとなった黒田氏と戸波山氏の出会い、また「こんな話があるが、やらないか?」と長友氏に話したその瞬間から、イラストレーター・黒田征太郎、アートディレクター・長友啓介という形が決まったという。


黒田氏は、「電脳機器を否定するつもりはないが、体を酷使することで得られる身体能力は大事」とし、長友氏も「体を使った修行によって、脳の指令より先に文字、色、デザインが反射的に出てくるようになるべき」と述べ、コンピュータだけに頼らない創作活動の必要性を訴えた。

黒田氏は、アメリカに憧れ、グラフィックデザインに憧れ、ソール・スタインバーグに憧れ、無理矢理に早川先生の門を叩いた。そこで早川先生や長友氏の絵の才能を目の当たりにし「自分には無理だ」と…。描いた絵が恥ずかしくて捨てていたが、ゴミ箱に捨てた絵を、ある時、長友氏が拾いあげ、それをB全のポスターにした。そこから黒田氏のイラストレーターの道が始まる。

「違う星から来たと思うくらい黒田には驚いた。アカデミックな教育を受けていない感覚的に鋭い人。本当に子供みたいな好奇心の塊。とにかく身体でやる。そういうところがおもしろい」と長友氏は話す。


「文字は書いた方が伝わる」と訴える2人。とくに黒田氏は、「私にとって文字も絵である」と述べ、そこに「芝居のポスターは、その芝居を見ずに作る」「テレビの仕事もほとんど打ち合わせをしない」など、ライブ性や反射的作業を加える自らの創作活動を紹介した。

また長友氏も「設計図通りではなく、やりながら作っていくことのおもしろさ」にふれた上で、文字を絵と捉え、色も文字と捉える視覚言語、ビジュアルコミュニケーションの必然性に言及。「この部分をコンピュータに頼ることで表現の幅を狭めているように思う」と指摘した。


最後に黒田氏は、「文字ってすごくチャーミングなもので、まだまだ変わっていくものだと思う。そういう気配みたいなものを大切にしながら電脳機器を使っていくなら、もっと飛躍できそうな気はする。僕は悪戦苦闘したい」と述べ、次世代を担う若手の活躍に期待し、エールを贈った。


「K2」という航空母艦をベースに、お互いを補い合うのではなく、互いにやりたいことをやり、認め合い、尊敬し合い、受け止め合う。そんな関係性が印象的なセッションとなった。


2016年3月7日

シェア

人物プロフィール

長友啓典

1939年大阪生まれ。1961年 桑沢デザイン研究所卒業。同年、日本デザインセンター入社。1969年 黒田征太郎氏とK2設立。1984年 講談社出版文化賞「さしえ賞」を受賞。1998年 青葉益輝氏、浅葉克己氏と共に『◯△□アートディレクターの発想・現場・定着』を出版。2001年第22回日本宣伝賞山名賞、2006年第37回講談社出版文化賞「ブックデザイン賞」を受賞。『成功する名刺デザイン』、『死なない練習』など著書多数。エディトリアル、各種広告、企業CIを手がける他、多数の小説に挿絵、雑誌にエッセイ連載など幅広く活動し現在に至る。

黒田征太郎

1939年大阪生まれ。1969年長友啓典氏とK2設立。1994年「野坂昭如/戦争童話集」映像化プロジェクトを開始し沖縄篇含め13話完成。2004年よりPIKADON プロジェクトを展開。2011 年震災後、神戸・大阪・盛岡・南三陸町にてポスターライブや仮設住宅の壁画制作を行う。『教えてください。野坂さん』(スイッチ・パブリッシング)出版。国内外でライブペインティング・病院等の壁画制作・絵話教室等、幅広く活動中。

モリサワ文字文化フォーラム 「文字とデザインVol.6」

type.center編集部

type.centerの編集部です。文字関連イベントをレポートしたり役立つ情報を発信できるよう努力してまいります。よろしくお願いします。

連載記事一覧
今日
昨日
おととい
ちかごろ
あいうえお かきくけこ さしすせそ たちつてと なにぬねの はひふへほ まみむめも やゆよ らりるれろ わゐゑを ん がぎぐげご ざじずぜぞ だぢづでど ばびぶべぼ ぱぴぷぺぽ 0123456789.
連載記事一覧