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TOMATOにみるPARCOのLOGO

ほぼ二字コラム

TOMATOにみるPARCOのLOGO

「THE TOMATO PROJECT 25TH ANNIVERSARY EXHIBITION “O”」告知グラフィック

みなさんこんにちは、大日本タイポ組合の塚田です。そういえば、いま渋谷パルコで「THE TOMATO PROJECT 25TH ANNIVERSARY EXHIBITION “O”」ってのやってますね。TOMATO結成25周年ですって。つまり僕らが最初にTOMATOを見たのは90年代ってわけ。あのころの空気感とか思い出したりして、ひとつの時代、文化なんだなぁと思うわけですけども、まず目に入るのが告知物を含め、パルコ渋谷店を中心に渋谷のあちこちに散りばめられているこのグラフィック。ていうかフォント。一目瞭然パルコのロゴで使われているアレで、これを見たときには「あー! ズリい〜!」と思いました、正直。


パルコPART1の壁面に貼られたTOMATOのグラフィック

大日本タイポ組合も2015年11月にギンザ・グラフィック・ギャラリーで「字字字 大日本タイポ組合」をやったとき、gggのロゴに「ウかんむり」を載せて「字字字」にした、っていうのをやりました。田中一光デザインのロゴをリスペクトしつつの共演を(一方的に)果たしたつもりなんですけども、TOMATOの連中はパルコロゴの書体を使いまくりでパルコを埋めつくすっていう。そう来たかーと。


「Chim↑Pom展」フライヤー(パルコのサイトより)

パルコのロゴを使ってなんかやる、しかもそのパルコ公認で、っていうのは、2012年にChim↑Pomがやってますよね。PART1の電飾看板の「P」と「C」を取り外してギャラリーに展示するっていう。

それだけこの「PARCO」のロゴが強いアイコンとして存在してる、ってことなんでしょう。


さてさて、さっきTOMATO展をみて25年前の空気感って言いましたけど、それに拍車をかけたのはやっぱりパルコのこのロゴの書体だと思うんです。実際このロゴが作られたのは80年代なんですけども。で、これ、五十嵐威暢さんのデザインだっていうのをちゃんと知っているのは、やっぱり当時の空気感を知る世代、四十歳オーバーってことになるんでしょうか。多摩美の学長こないだまでやってたから多摩美出身の人は知ってるかな? どうでもいいけど五十歳と五十嵐って似てますね。

パルコPART1のエントランス。「PARCO」のロゴデザインは五十嵐威暢

1981年9月に「パルコPART3」がオープン、そのときにこのロゴが作られたんですね。「PART3」ができる前の、もともとパルコのロゴは別のセリフ系の書体のがあって、ていうか今もあって「ヒゲロゴ」と呼ばれているらしいです。「R」の右下のところがヒゲのようになってるから。んでこっちのロゴは「ブロックロゴ」と呼ばれてるとか。

オリジナルのPARCOロゴと、それを使ったTOMATOのグラフィックの共演

Underworldの「Born Slippy Nuxx」が脳内を流れまくった映画「トレインスポッティング」が1996年に上映されたのがシネマライズだったんで、それ観て映画館を出ると、その正面にある「PART3」のエントランスに、立体的に作られた「PARCO」ってロゴがガツンとあるわけです。下から見上げるからほっとんど読めないんだけども。まぁとにかく強烈でした。そんな当時のTOMATOとパルコの記憶もよみがえったりして。

もちろん、平面的な、赤青緑に塗り分けられたロゴも同時に使われて、それが次第に「PART1」のほうのメインのエントランスや、他の店舗にも使われるようになっていった、と。

ちなみに渋谷ではもう見られなくなっちゃった立体ロゴ、知っている範囲では吉祥寺パルコのエントランスとか、調布パルコの外壁にデカいのがくっついてるので、行く機会があればナマで、行けない人はGoogleストリートビュー(吉祥寺パルコ調布パルコ)でどうぞ。


ベックのアルバム「MUTATIONS」

話は逸れますが、ベックの「MUTATIONS」というアルバムのジャケにも使われてるんですねこの書体。ていうかフォント化されてんのか? ベックのジャケとTOMATOのやつと、ストライプがあったり、いくつかのグリフの形とかエレメントの切り込みも違うから、それぞれが独自に作ってるっぽいですね。エレメントの切り込みはベックのほうがきれいだと思う。ま、TOMATOのグラフィックは、きれいとかうまいとかじゃなく、これでもかとやりきっちゃう感なんだろうなぁと思うなど。空気感てのはそういうところからもきてる。

あ、ベックのほうは分からないですけど、TOMATOは当然ながらこのロゴ書体を無許可で使ってるわけではなく、展覧会クレジットにも「特別協力:五十嵐威暢」って入れてちゃんとリスペクトしてます。五十嵐さんもブログでしっかりアンサー返してます。


五十嵐威暢、TOMATO、そしてハーブ・ルバーリンの競演(?)

今回のTOMATO展、もちろん25年ぶんの過去の作品群もあるんだけど、新作のメインはこのパルコロゴの書体を使ったグラフィック。パルコの外壁や館内のあちこち、また渋谷の街中の電柱とかにも貼られてたり。まさに空気感を作ってます。

そんな中、ふとPART1地下のパルコブックセンターに行くときに見えた、アシックスのロゴ(デザインはハーブ・ルバーリン!)すらも、TOMATOの仕業に思えてしまうのでした……。


TOMATOの展覧会、「THE TOMATO PROJECT 25TH ANNIVERSARY EXHIBITION “O”」は、4月3日までの開催です。

2016年3月31日

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塚田哲也

大日本タイポ組合のひとり。新世界タイポ研究会のメンバーでもある。ソロ活動として、デザイン関連ダジャレコンテスト「グッドデザイソ」をtwitter上で開催中。

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