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『辞書』折口信夫

文字文学

『辞書』折口信夫

文字にまつわる小説・随筆などを青空文庫収録作品から一冊にまとめた『文字文学Ⅱ』(type.center 編)掲載作品から折口信夫の『辞書』冒頭部分をご紹介いたします。


辞書

折口信夫

 日本の辞書のできてくる道筋について考えてみる。

そういうとき、すぐにわれわれは『倭名類聚鈔』を頭に浮かべる。それより前には辞書がなかったかというと、以前のものが残っていないというだけのことで、源順が突如として辞書をこしらえたというのではない。『倭名鈔』があれだけ正確な分類をしていることからみても、それが忽然と出てくるわけはない。それまでに、辞書を作る修練を日本の学界は積んでいたのである。漢字を集めた辞書のほかに、日本語を集めたものができていたと思われる。日本語を記録することがもっと早くからあったのだ。『倭名鈔』をみても、漢字の名詞、熟字を示して、それに和訓を付けている。ときによると、訓をつけることができなくて、訓を付けてなかったり、または、無理に付けたりしている。たとえば『倭名類聚鈔』には、「髭」「鬚」をそれぞれ「かみひげ」「しもひげ」などと訓んでいるが、こんなことはいわない。日本語としては嘘の話だが、漢字を伝えるためには、このように語を新たに作らなくてはならぬことになる。

ともかく、漢字を出して、それにあたる訓を考えている。これをもう少し歴史的に、一つの過程として考えると、言語を覚えるという、日本人が昔からもっている努力のあらわれということはいえる。


つづきは『文字文学 Ⅱ』にて。BCCKSの機能を利用して、このままお読みいただくことができます。


他の作品も一冊にまとめた『文字文学 Ⅱ』は、各電子書籍ストアで配信されているほか、BCCKSでの電子書籍版『文字文学 Ⅱ』の閲覧は無料、文庫本サイズの紙本を注文し購入することもできます。収録作品はtype.center bcck storeでご覧いただけます。文学であじわう文字をお楽しみください。

2018年6月7日

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type.center編集部

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