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前編:マシュー・カーター/ネヴィル・ブロディ/アン・サンス

世宗生誕620周年記念国際カンファレンス「世宗の革新精神とタイポグラフィ」

前編:マシュー・カーター/ネヴィル・ブロディ/アン・サンス

2017年5月6日(火)、韓国国立ハングル博物館にて世宗(セジョン)大王の生誕620周年を記念して「世宗の革新精神とタイポグラフィ」と題した国際カンファレンスが開催された。今回のカンファレンスは、ハングルを創製した世宗大王の革新精神を継ぐため、国内外の著名なタイポグラフィデザイナーを招き、創意的な事例を紹介しタイポグラフィデザインの未来志向な発展の可能性を論議する場となった。その様子を2回に分けてレポートする。

韓国国立ハングル博物館にて開催された

国立ハングル博物館長キム・チョルミン館長の挨拶とカーター&コーンタイプ社のマシュー・カーターのインタビュー映像で本格的なカンファレンスが始まった。マシュー・カーターは長年の作業から得た経験を元に、今まで感じたこと、後悔したこと、これからのデザイナーへのメッセージなどを伝えた。

マシュー・カーター/カーター&コーンタイプ社

「私は今までやったことのないプロジェクトがくるのがとてもうれしいです。私はいつも新たにチャレンジするのを楽しみにしています。」
-マシュー・カーター


ネヴィル・ブロディ

「タイポグラフィ:柔軟な解釈に向かって」

ネヴィル・ブロディ/ブロディ・アソシエイツ

1つめのセッションは、ブロディ・アソシエイツのネヴィル・ブロディが講壇にたった。ブロディの講演テーマは「タイポグラフィ:柔軟な解釈に向かって」。タイポグラフィは単純な情報読解だけでなく、多様な用途で使われていて、特に今日にはタイプデザインを通じてスマートタイポグラフィを具現することが可能になったと説明した。タイポグラフィは多様な機能と表現を持ち、必要性と用途に合わせて多様な反応と形を作れると話した。

また、ネヴィル・ブロディはあるプロジェクトに着手する前に多様な情報収集と重なる実験を通じて新しい言語表現を発見し、大衆との疎通法を見つけると明かした。

イギリスのサッカー代表選手のユニフォームをデザインするときも、サムスンとの多言語書体プロジェクトのときも、一定のものにこだわるよりは柔軟な解釈と数多くの実験を通じて答えを見つけ出した。

サムスン電子のブランドフォント「Samsung One」

「書体は人間の多用な疎通方法のひとつだ。また言語は使う人の間で特定の組み合わせで配列すると特定のアイディアを伝達できるように合意する、一種の契約である」と言いながら、言語の境界を取り壊し、タイポグラフィの新たな可能性と解釈の重要度を説明して話を終えた。


アン・サンス

「Designing.School」

ブロディに続いて登壇したのは、パジュタイポグラフィ学校のアン・サンス ナルゲ(校長)。「アン・サンス体」で有名な彼はパジュタイポグラフィ学校(PaTI)を設立、ナルゲ(校長)を勤めている。

アン・サンス/PaTI

「Designing.School」というテーマでPaTIを作ったきっかけと理念について話した。デザイン実務を20年、教育のために20年を捧げた彼は「学校をデザインする」計画を立てる。

PaTIの理念

走るシベリア横断列車で心を決め、大師匠の世宗を思いながら作ったPaTIは、まさに思い描いた家であり、ハングルデザインの基礎の元で描き続けている。太極の形をしているPaTIの理念は「人生は流れ、仕事は魅了されて、芸術は遊びながら」を伝えている。アン・サンスは世宗に魅了されて今に至り、今はPaTIを描くのに魅了されていると説明した。


「後半:トミー・リー/ピーター・ビラク/塚田哲也」は後日掲載します。

2017年6月7日

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人物プロフィール

M
Matthew Carter

タイプデザイナーであるマシュー・カーターは、この50年間、それぞれの時代に進化する文字生成技術を駆使して手彫りの活版文字からコンピュータフォントまでの書体をデザインしている。 ライノタイプ社と長年に亘る取組みの後、1981年にデジタルフォント制作のビットストリーム社を共同で立上げ、10年後にシャリー・コーンと共同経営のカーター& コーン・タイプ社(マサチューセッツ州ケンブリッジ)をスタート、社長に就任、現在に至る。オリジナル書体開発のデザイナー及びプロデューサー。

ITC Galliard、Snell Roundhand、Shelley scripts、Helvetica Compressed、Olympian(新聞用書体)、Bell Centennial(アメリカの電話帳用)、ITC Charter、ギリシャ文字、ヘブライ文字、キリル文字、デバナーガリ文字などの書体をデザイン。

カーター& コーン・タイプ社設立後は、Mantinia、Sophia、Elephant、Big Caslon、Alisal 、 Miller などの書体を手がけている。 2011年にはモノタイプ・イメージング社から Carter Sans をリリースした。

カーター& コーン・タイプ社は、「タイム」「ニューズウイーク」「ワイアード」「US ニューズ& ワールドレポート」「スポーツ・イラストレイテッド」「ワシントンポスト」「ボストン・グローブ」「フィラデルフィア・インクワイヤー」「ニューヨークタイムズ」「ビジネスウィーク」「ル・モンド」などの新聞や雑誌に加え、ウォーカー・アートセンター、MOMA、イェール大学、ハミルトン・ウッドタイプ・ミュージアムの書体デザインを委託制作。

90年代の中頃から、マイクロソフト社のスクリーンフォントシリーズのデザインに取組み、コンピュータのモニター上で出来る限り読み易さを追求した書体開発を行った。その中で、Verdana、Tahoma、Nina(携帯デバイス用圧縮書体)はサンセリフ、Georgia はセリフ書体である。

ロイヤル・デザイナー・フォー・インダストリーの一人であり、アートディレクターズクラブ(NY)の殿堂入りを果たした。イェール大学グラッフィックデザイン科上級講師も長年に亘って務める。クライスラー賞、AIGA 金賞、タイプディレクターズクラブ金賞、マッカーサーフェロー賞に加え、2011年には、スミソニアン・クーパー・ヒューイット国立デザインミュージアムから今までのデザイン界への貢献を讃え、ナショナルデザイン賞の栄えある特別賞を受賞。

B
Neville Brody

ブロディ・アソシエイツ代表。グラフィックデザイナー、タイポグラファー、アートディレクター、ブランドの戦略家として、デジタル、タイポグラフィからアイデンティティーの分野で活躍。初期に手掛けた雑誌「The Face」やレコードジャケットのデザイン等で脚光を集め、現在はグローバル企業からインディペンデントなプロジェクトまで幅広く手掛ける。英国ロイヤルカレッジ・オブ・アートのCommunication Art & Design department学部長。

安 尚秀

Ahn Sang-Soo。韓国を代表するグラフィックデザイナー。

1981年、ソウルの弘益大学で美術修士号を取得。1985年、アングラフィックスを設立。アンサンス体を発表してハングル書体の新しい可能性を示した。以後、各国で個展やグループ展を開催するとともに、さまざまな賞の審査員や国際イベントのホスト役等を務める。1991年、母校・弘益大学においてタイポグラフィ、エディトリアル・デザインの教授に就任。ICOGRADA副会長(1997-2001)、韓国視覚情報デザイン協会会長(1999-2000)を歴任。2007年、ライプツィヒ市からグーテンベルク賞を受賞。2012年よりソウル市デザイン財団の理事長を務める。2013年にはデザイン学校「PaTI(PajuTypographyInstitute)」を創立し、新しいかたちのデザイン教育に取り組んでいる。

世宗生誕620周年記念国際カンファレンス「世宗の革新精神とタイポグラフィ」

type.center編集部

type.centerの編集部です。文字関連イベントをレポートしたり役立つ情報を発信できるよう努力してまいります。よろしくお願いします。

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