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サイラス・ハイスミス×大日本タイポ組合 レクチャー&ワークショップ

イベントレポート

サイラス・ハイスミス×大日本タイポ組合 レクチャー&ワークショップ

MMMレクチャー & ワークショップ 「文字を創り出すサイラス・ハイスミス×文字を再構築する大日本タイポ組合」

11月7日、東京・銀座のMMM(メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド)で開催されたレクチャー&ワークショップ「文字を創り出すサイラス・ハイスミス×文字を再構築する大日本タイポ組合⇒言語を超えて文字で遊ぶ」のレポートをお届けする。

同イベントは、文字の可能性やデザインの楽しさに触れてもらうイベントとして企画されたもので、タイプデザイナーのサイラス・ハイスミス氏と、文字をテーマに独自のデザインで活躍する大日本タイポ組合が競演。前半のレクチャーでは、両者がそれぞれ文字やデザインに対する日頃の活動を紹介した。

「文字」と「ウサギ」:サイラス・ハイスミス氏

冒頭、「競演する大日本タイポ組合の2人(丸坊主頭)に合わせて、本来ならば髪の毛をカットしてくるべきだった。申し訳ない」というジョークで会場を湧かしたサイラス・ハイスミス氏。そんな笑いとともにレクチャーがスタートした。

日本語の漢字の形に興味があるというサイラス。「兎」という字を例に、「その形が文字の意味そのものを表すという部分に魅力を感じる」と話す。

そして話は「ウサギ」へ。当時3〜4歳だった娘と一緒に作った子ウサギ3部作の絵本「THE LITTLE BUNNY」シリーズは、遊び感覚ではじめたもので、時には情報整理のために文字を書き起こしたり、白黒のシンプルなドローイングを行いながら、レーザープリンタで15部くらい作って娘の友達にプレゼントしたのがはじまり。しかし、実際これが大ヒットとなる。「文字と絵を組み合わせる作業が、中毒になるほど楽しくなっていった」と振り返るサイラスは、その1作目を朗読。

-「昔々あるところに子ウサギがいました」

「子ウサギは森の中で迷子になってしまいました」

「怖くて寒くておなかもすいてしまいました」

「突然、大きな怪獣があらわれました」

「しかし、その怪獣はとても優しく、子ウサギを抱き上げて助けてくれました」

「おしまい」

短い話である。イラストレーションは極めてシンプルで、技術的に難しいものではなく、すべてフラットな要素で構成されている。「良い話には、良い絵が必要で、ウサギを書くということは、本に使ったタイプフェイスを書くことに非常に似ている」と語るサイラスは、「新しいタイプフェイスをデザインする時は、具体的な対象、用途を設定する。良いタイプフェイスには明確な役割が必要になる」と強調する。

また、この作品に使われたタイプフェイス「レイ」について「ソフトでフレンドリー。しかし、それは決して子供っぽいということではない」とした上で、「先端に丸みがあり、ウサギの手足に見える。さらに文字は全体的に斜めに傾いており、本の中でウサギが跳んでいるように見える」といった表現で、自身の「タイプデザイン考」の一端を披露した。

文字を使って遊ぶ:大日本タイポ組合

冒頭、「競演するサイラスにあわせて髪を伸ばそうとしたが、その時間がなかった」とジョークでお返し。ラフな感じでレクチャーがスタートした。

まず、サイラスが「怪獣好き」ということもあって、挨拶代わりに紹介したのがウルトラ怪獣「ダダ」の作品。これは、「ダダ」の姿のあらゆる部分を「ダ」というカタカナで構成したもので、そこに記された漢字やトリムマークも「ダ」になっているという遊び心満載の作品。その精巧さでサイラスを唸らせた。

続いて、英文の綴りを上手く組み合わせて動物の形を作り、それを回転させた時に文字で読めるという作品を紹介。「文字の形に2つの意味を持たせる場合、その2つの意味をうまく成立させるには、どこかでバランスを取る必要がある」と述べ、アルファベットを分解してカタカナとして再構成する「KUROFUNEフォント」や、このアイデアをもとに商品化した「トイポグラフィ」、また2つの形状のピースを回転させることで4つの文字を作るという「G.a.m.e.」というゲームなど、遊び心満載の作品の数々を紹介した。

最後は、人気書体である「Helvetica」を使ってポスターを作った仕事の話に。「この書体のアウトラインデータを切ったり伸ばしたりすると別の書体になってしまう。そこで『Helvetica』という9文字を寄せ集めて人の形にしてみた。すべての文字が接した状態で、フォトショップでいうバケツツールを使って色を入れていくと、文字ではなく、ひとつのキャラクターができる。『余白が文字を作っている』という人もいる。文字そのものをいじれなくても、余白のバランスを取ることで表現できるものもある

オリジナルタイプフェイス制作に挑戦

後半のワークショップでは、まず、サイラス指導のもと、参加者が思い思いに黒い紙と白い紙にはさみを入れながら、そのシルエットでオリジナルタイプフェイスデザイン「e」の制作に挑戦した。

一方、大日本タイポ組合指導のもと行われたのは……「これは他の場所でもやろうとしているのでネタバレになるから書かないでください(笑)今回は会場にお越しいただいたお客様だけのお楽しみということで」とのことでご了承いただきたい。 そんな斬新な課題に対し、参加者は真剣なまなざしで取り組み、かつ楽しむ姿が見られた。

2014年12月17日

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人物プロフィール

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Cyrus Highsmith

1997年ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)を卒業、フォントビューロー社入社。上級デザイナーとして新しいタイプ・シリーズの開発に関わる。RISD でタイポグラフィーを教える傍ら米国、メキシコ、ヨーロッパで講演やワークショップを展開。2001年、「プリント」誌のニュービジュアルアーティスト・レビューに特集される。Prensa と Relay が国際タイプデザイン・コンペティションの Bukva:Razで受賞。米国やヨーロッパで作品展を行っている。

雑誌「マーサ・スチュアート・リビング」、「ザ・ソース」、「メンズヘルス」、「プレイボーイ」(スペイン語版)、「ローリングストーン」、「モントリオール・ガゼット」(カナダ)、「ザ・サンデイ・インディペンデント」(ロンドン)に彼の書体が特集される。「ラ・プレンサ・グラフィカ」(エルサルバドル)、「エル・ユニバーサル」(メキシコシティ)の書体をデザイン。2002 年、ウォールストリートジャーナル紙の新しいヘッドライン・シリーズを制作、同社の伝統的な文字に複雑な現代のニーズを見事に組合せたと高く評価された。

仕事の領域は多岐にわたるが、何よりも製図工であることに誇りを持つ。製図はライフワークとして情熱を傾け、エネルギッシュなイラスト的アプローチと文字によるコミュニケーションをうまく組合せ、独自のデザイン書体を広げている。ウェディング招待状のカリグラフィと産業向けの力強いサンセリフ文字デザインの全くかけ離れた領域の仕事を軽々とこなす。

大日本タイポ組合

秀親と塚田哲也の2人で1993年に結成。日本語やアルファベットなどの文字を解体し、 組み合わせ、再構築することによって、新しい文字の概念を探る実験的タイポグラフィ集団。 文字通りモジモジしながら文字で遊んで21年。 ロンドン、 バルセロナ、東京にて個展を開催。 シンガポール、香港、韓国などでの企画展に参加。 2012年古堅まさひこと共に日本科学未来館にて「字作字演展」を 開催。TokyoTDC会員。

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