文字による文字のための文字のサイト

『みじかい木ペン』宮沢賢治

文字文学

『みじかい木ペン』宮沢賢治

文字にまつわる小説・随筆などを青空文庫収録作品から一冊にまとめた『文字文学 Ⅲ』(type.center 編)掲載作品から宮沢賢治の『みじかい木ペン』一部分をご紹介いたします。


みじかい木ペン

宮沢賢治

 つぎの日学校の一時間目は算術さんじゅつでした。キッコはふとああ木ペンを持っていないなと思いました。それからそうだ昨日きのうの変な木ペンがある。あれを使つかおう一時間ぐらいならもつだろうからと考えつきました。

そこでキッコはその鉛筆を出して先生の黒板こくばんに書いた問題もんだいをごそごその藁紙わらがみ運算帳うんざんちょうに書きりました。

48×62= 「みなさん一けた目のからさきにかけて。」と先生がいました。「一けた目からだ。」とキッコが思ったときでした。不思議ふしぎなことは鉛筆がまるでひとりでうごいて96と書いてしまいました。キッコは自分の手首だか何だかもわからないような気がしてあきれてしばらくぼんやり見ていました。「一けた目がすんだらこんどは二けた目を勘定かんじょうして。」と先生がいました。するとまた鉛筆がうごき出してするするっと288と二けた目までのとこへ書いてしまいました。キッコはもうあんまりびっくりして顔を赤くしてかたくなってだまっていましたら先生がまた「さあできたらせ算をして下さい。」と云いました。またはじまるなと思っていましたらやっぱり、もうただ一いきに一本の線もひっぱって2976と書いてしまいました。


全文は『文字文学 Ⅲ』にて。BCCKSの機能を利用して、このままお読みいただくことができます。


他の作品も一冊にまとめた『文字文学 Ⅲ』は、各電子書籍ストアで配信されているほか、BCCKSでの電子書籍版『文字文学 Ⅲ』の閲覧は無料、文庫本サイズの紙本を注文し購入することもできます。収録作品はtype.center bcck storeでご覧いただけます。文学であじわう文字をお楽しみください。

2018年9月5日

シェア

文字文学

type.center編集部

type.centerの編集部です。文字関連イベントをレポートしたり役立つ情報を発信できるよう努力してまいります。よろしくお願いします。

連載記事一覧
今日
昨日
おととい
ちかごろ
あいうえお かきくけこ さしすせそ たちつてと なにぬねの はひふへほ まみむめも やゆよ らりるれろ わゐゑを ん がぎぐげご ざじずぜぞ だぢづでど ばびぶべぼ ぱぴぷぺぽ 0123456789.
連載記事一覧
連載記事一覧