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「カリグラム100 ー アポリネールの造形詩 ー」展覧会&ポエトリーリーディングイベントレポート

イベントレポート

「カリグラム100 ー アポリネールの造形詩 ー」展覧会&ポエトリーリーディングイベントレポート

1月にLUCKAND -Gallery Cafe&Bar- [ラカンド ギャラリーカフェアンドバー]で行なわれた「カリグラム100 ー アポリネールの造形詩 ー」では、グラフィックデザイナー永原康史氏により日本語訳されたカリグラムの造形詩が展示されました。
会期中の1月19日(土)には、永原真夏氏(SEBASTIAN X、音沙汰)によるポエトリーリーディングイベントが開催。前半は詩の朗読やアコースティックライブが行なわれ、後半は永原康史氏によるギャラリートークで、作品やギョーム・アポリネールについての解説が語られました。

「カリグラム100 ー アポリネールの造形詩 ー」

フランスの詩人・美術批評家のギョーム・アポリネールは文章を造形的に配置する技法により、一冊の詩集を残しました。 現在「カリグラム」はその手法自体を指す言葉としても用いられますが、もとはアポリネールの詩集のタイトル。
永原康史氏が日本語化した『カリグラム 平和と戦争のうた(1913ー1916)』が2018年12月10日に発売された「アイデア No.384」に掲載。展覧会では、活版により印刷されたものが展示されました。

企画・制作は川北奈津氏、松川祐子氏、永原康史氏。造形詩訳は、永原康史氏によるもの。

「カリグラム100 ー アポリネールの造形詩 ー」展示風景


「カリグラム100 ー アポリネールの造形詩 ー」永原真夏によるポエトリーリーディング

「カリグラムは目で見て楽しむものだけれど、ポエトリーリーディングによって、耳で聴くことでも楽しんでほしい」と川北氏からの挨拶でイベントは開幕。
作品が展示されている中で、永原真夏氏のライブが始まります。キーボードは小西遼氏。

一曲目の「草冠のライオン」に続き、ブルーハーツ「ラブレター」のカバーが披露されました。展覧会主催の人たちからリクエストされた曲だそうで、その理由は後半のトークにて明かされます。

次にポエトリーリーディングに移ります。最初に詠まれたのは、「戦争の脅威」。
来場者の手元には日本語訳が掲載された小冊子が配布され、会場全体の目がアポリネールの詩の字面を追いつつ、真夏氏の朗読に耳を傾けます。
詩の合間合間に小西氏のキーボードの音が、詩に描かれた光景を空想する手がかりのように響きます。

真夏氏によるポエトリーリーディング

キーボードによる前奏と真夏氏のハミングに導かれるようにはじまったのは、「小さな自動車」の朗読。

「雨がふる」はキーボードの音と重なるように紡がれます。

真夏氏が「詩の朗読は全くと言っていいほど歌と心地が一緒」と話してから詠まれた「手紙ー海洋」の朗読には、真夏氏とバンドを組む工藤歩里氏、渡邉ユリカ氏が参加。

(左)「手紙ー海洋」

左から渡邉ユリカ氏、工藤歩里氏、小西遼氏、永原真夏氏

造形詩では放射状に並び雑踏のざわめきを表現している文字を、三者の声が楽器を奏でるように紡ぎ、カリグラムのレイアウトを体現しているようでした。


後半は康史氏によるトーク。

「アポリネールは1880年に生まれて、1918年38歳に若くして亡くなりました。『手紙ー海洋』にあるように、あまり幸福な子ども時代は送ってこなかった。両親ともに貴族の出身だと言われているが、父親がどういう人かはアポリネール本人も知らなかった」など、 詩に描かれているアポリネールの幼少期のエピソードなどが解説されました。

「『小さな自動車』は第一次世界大戦が始まって、戦争に志願していく時のことを書いた詩。第一次世界大戦の時代は、第二次大戦の時とは人々の戦争観が大きく異なり、戦争をすることがそう悪いことだとは考えられていなかった。若者はとくに揚々と従軍していき、行った先で戦争の恐ろしさに気がつく。
『戦争の脅威』はアポリネールが実際に戦地で書いた詩。寝る場所もなく塹壕の土の上で寝て、まわりではどんどん人が死んでいく。自分もいつ死んでもおかしくない状態で、自分のことを未来の人に思い出してほしいという思いで書かれたもの」。

アポリネールがカリグラムを書くようになる経緯についても語られます。
「カリグラムは『美しい文字』という意味。文字でかたちをつくるという詩をアポリネールは考えだします。
彼は戦地から恋人にたくさん手紙を書きます。アポリネールは恋文の名手で、よく言えば恋多き男、一般的な言い方で言えば女ったらし。その女の人に宛てた手紙に添えた詩を花の絵とか、女の人の似顔絵などのちょっとした絵にしてみせる。なので今日のライブでは『ラブレター』を歌ってもらいました」。


話題はアポリネールの経歴から、今回の展示作品についてや、翻訳作業についてへ移ります。

「1928年フランスで発行された本が手元にあります。もちろん活字ですが、展示している印刷の方が断然きれい。今回のものは亜鉛版の活版印刷で刷られています」。

「『雨がふる』は窓に雨粒があたって伝い落ちる象形をあらわしている詩。雨のつぶつぶとした感じを表すために、ひらがなだけを使って訳しました。フランス語は一文が長い。日本語にすると短くなるので、文章のかたちを合わせるために言葉を足していかなければならない」と、文字数を合わせる点が一番難しかったそう。

「日本語訳を組んでいると(原文が)活字でどう組んでいるかがわかってくる。曲線になっている行も、ブリキでスリットを作ってそこに活字を植えるわけですけれど、どう植えているかが次第によめてくる。
カリグラムは一見すると読む順番もわからないのだけど、組んでいる順番がわかると、こういう順で読むのだろうなというのがわかります」という制作中のエピソードも紹介されました。


「刺殺された鳩と噴水」

展示作品をななめから見ると、くっきりときれいな活版印刷の線が見えます。印刷はALL RIGHT PRINTINGによるもので、使用された書体は秀英にじみ明朝。 「オフセット印刷で活版ぽさをだすためににじみ明朝を使用しましたが、きれいな刷り上がりの印刷で、逆に書体によるにじみ感はなくなりました」とイベント後話してくださいました。

会場では、展示されているものと同じ作品が一葉ずつ購入可能。またTシャツやトートバッグ、ミラーなどのコラボレーショングッズも販売。グッズは現在もLUCKANDのオンラインショップで購入できます
多方面からカリグラムを楽しむことができるイベントでした。

(レポート:伊東友子)

2019年2月22日

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