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ラウラ・ミセゲルさん(バルセロナ)

世界のタイプ道

ラウラ・ミセゲルさん(バルセロナ)

世界各地にひろがるタイポグラフィーの世界を覗いてみませんか? 当連載「世界のタイプ道」では、世界各地の書体デザイナー、プログラマー、教育者、ベンダー、そしてこの書体を愛するコミュニティの基礎を支える多彩な方々へのインタビューを通して、タイポグラフィーという世界の魅力をお伝えしていきます。

今回はスペインのバルセロナを拠点にグラフィック、タイプデザイナーとして活動しているラウラ・ミセゲルさんにお話を伺いました!

オランダの新聞 “De Volkskran” の付録 “Sir Edmundo”のタイポグラフィイラストレーション。
アートディレクタション:Lucas van Esch クライアント:De Volkskrant

専門は、ブランディング・印刷デザイン分野のカスタムレタリング・タイプデザインに関わるプロジェクト

1.ご自身について教えてください。

ラウラ・ミセゲルさん

ラウラ・ミセゲル(以下、LM): スペインのバルセロナを拠点にフリーランスでグラフィック、タイプデザイナーとして活動しています。教育にも携わっており、執筆活動もしています。スタジオでは国内外のクライアント向けの仕事や私個人のプロジェクトに取り組んでいます。私の専門は、ブランディング・印刷デザイン分野のカスタムレタリング・タイプデザインに関わるプロジェクトです。私がデザイン・制作した書体は私のデジタルタイプファウンダリのType-Ø-Tonesより提供しています。


2.新しいスタイルをデザインする時はどの文字を最初にデザインしますか?

LM: プロジェクトによりますが、“n” か “a” から始めることが多いです。書体の形、雰囲気、プロポーションについて良いアイディアを得ることができます。“a”、“e”、“o”はスペイン語での使用頻度が高い文字です。これらをデザインすれば、短い文章のテストがしやすくなります。

Multi書体ファミリー。印刷・電子媒体の新聞の見出しおよび本文用のサンセリフ書体。
元々はオランダの地元新聞の新しいデザインとして製作。後にウェイト、スタイルをさらに展開。
アートディレクション:Luis Mendo


3.公開可能な範囲で現在取り組んでいるプロジェクトを教えてください。

LM: 今は二つのプロジェクトに取り組んでいます。 一つ目はQandusのリテール版および拡張版のプロジェクトです。Kristian Sarkis氏とJuan Luis Blanco氏と共同で取り組んでいます。Kristianはマグレブのアラビア文字、Juanはティフィナグ文字を担当しています。欧文デザインの最大の課題は、3種類の異なる構造で3ウェイトを製作することです。つまり、合計で9フォント製作することになります。そのフォントはコンテンポラリーデザインコンテキストにおいて、アラビア文字とティフィナグ文字との統一感があり、私たちが表現するもの、アラビア書道の写本、言語に敬意を表し、3言語の精神・エネルギー・美にマッチさせなくてはいけません。

もう一つのプロジェクトは、私の好きなスタイルであるステンシルフォントシリーズです。ステンシルタイプのワークショップはこれまでに数多く開催してきました。今までに蓄積してきたスケッチや表現から、様々なスタイルを織り交ぜつつも共通のコンセプトを持つ書体ファミリーを作ることにしました。形と機能の中間的な書体となると思います。どのような書体になるか楽しみです。

Qandus。Qandus Latinは19世紀にAl-Qandusiが手書きで作ったマグレブスタイルを現代的にアレンジした多言語タイププロジェクトの一部。
QandusはKhatt Foundationのタイポグラフィデザイン研究プロジェクト、“Typographic Matchmaking in the Maghrib (2015-2017)”の一環として製作された。
デザイナー:ラウラ・ミセゲル(欧文)、Kristyan Sarkis(アラビア文字)、Juan Luis Blanco(ティフィナグ文字)。


4.デザインしてみたい言語はありますか?

LM: いい質問ですね。日本語のカリグラフィー、ひらがなとカタカナの形に感銘を受け、ずいぶん昔に日本語の勉強を始めました。いつか日本語の書体をデザインすることができたらなぁ、と思っています。もちろん、その時は日本語デザイナーと一緒に取り組みたいです。

Barcelona, Cuitat de Pau(バルセロナ、平和の街)
2017年8月17日にバルセロナのランブラス通りで起きたテロ事件を追悼したロゴ。
クライアント:バルセロナ市議会


デザイナーとしてATypIの包括的なアイデンティーを担当

5.ATypIにはいつから参加されていますか?参加のきっかけを教えてください。

LM: ATypIに初めて参加したのは1995年です。その年は私の故郷であるバルセロナで開催されました。当時、私はグラフィックデザイナーとして活動しており、私のファウンダリ、Type-Ø-Tonesも既に立ち上がっていました。ATypIに参加するのはとても光栄なことでした。というのも、バルセロナでそのようなイベントに参加できたのはその時が初めてだったのです。

オランダの新聞 “Het Parool” の題字デザイン。デザイン変更時に担当。
アートディレクション:John Koning、Floor Koop クライアント:Het Parool


6.ATypIのボードメンバーをされています。主に何を担当されていますか。

LM: デザイナーとしてATypIの包括的なアイデンティーを担当し、ローカルデザインチームと協力しています。


7.ATypI 2019 Tokyoに期待することを教えてください。

LM: ATypIのイベントとして、プロジェクトやコラボレーションをパワーアップさせるような素晴らしい講演やワークショップを開催してほしいと思います。個人的には日本のタイプデザインやタイポグラフィを学び、そして現地のデザインシーンに触れ、繋がりを持ちたいです。日本のタイプデザインの主な特徴を少しでも学びたいと思っています。


8.モリサワのタイプデザインコンペティション2019の審査員を務められます。コンペティションに期待していることを聞かせてください。

LM: 世界中から才能のあるタイプデザイナーを見つけ出すことです。また、和文・欧文の審査員メンバーたちと感想を共有し、彼らからも学びたいです。経験豊富な方たちとお会いできることをとても光栄に思っています。

Plan B music。アーティストエージェンシーのロゴ。
アートディレクション:Eider Corral、クライアント:Plan B music


9.5月に初めて来日されますが、日本に対するイメージを教えてください。

LM: 日本語を2年間学習したことがあるのですが、これまでに日本に行ったことはありません。日本語はほとんど忘れてしまいましたが、アート、伝統、健康的な食事、地形を学んだこともあります。日本に行く準備も始めています。最近は「生きがい」に関する本を読みました。文化のあらゆる面に影響を与えていると思います。実際に日本に行って自分自身で体感するのがとても楽しみです。


10.新年の抱負を教えてください。

LM: もっとたくさんの文字をドローイングし、これから迎える素晴らしい日々を大切にして楽しみたいです。

Tシャツデザインのレタリング。女性のための女性によるデザインのコレクションの一環として。
クライアント:Skylar Yoo

2019年2月21日

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type.center編集部

type.centerの編集部です。文字関連イベントをレポートしたり役立つ情報を発信できるよう努力してまいります。よろしくお願いします。

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