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ニーラカシュ・ケトリマユムさん(インド)

世界のタイプ道

ニーラカシュ・ケトリマユムさん(インド)

 世界各地にひろがるタイポグラフィーの世界を覗いてみませんか?

当連載「世界のタイプ道」では、世界各地の書体デザイナー、プログラマー、教育者、ベンダー、そしてこの書体を愛するコミュニティの基礎を支える多彩な方々へのインタビューを通して、タイポグラフィーという世界の魅力をお伝えしていきます。

 今回はインドのグラフィックデザイナーおよびタイプデザイナーであるニーラカシュ・ケトリマユムさんにお話を伺いました!

ラム酒ブランドのロゴおよびロゴタイプデザイン


── ご自身について教えてください。

ニーラカシュ・ケトリマユム

ニーラカシュ・ケトリマユム(以下、NK): インドのゴアを拠点にタイプおよびグラフィックデザイナーとして活動しています。インドのナショナル・インスティテュート・オブ・デザインでグラフィックデザインを学び、英国のレディング大学で書体デザインの修士号を取得しました。Fiona RossとJohn Hudsonと密接に協力しながらインドの文字体系の書体開発に取り組んでいます。また、タイプとタイポグラフィのデザインスタジオである、brandnewtypeを共同で設立しました。タイプと文化の関係に興味があります。


感情の表現がスタイル次第で変幻自在である、字体の変異的な性質

── この業界に入ったきっかけを教えてください。

NK: 綺麗な手書きの字体がもたらす効果に興味がありました。感情の表現がスタイル次第で変幻自在である、字体の変異的な性質に魅了されています。グラフィックデザイナーとして経験を積んだことで、ビジュアルコミュニケーションにおけるタイプとタイポグラフィの重要性を認識し、書体デザインを専門的に学ぶきかっけとなりました。新しいデザインを作り出す上で、探求や表現に無限の可能性があり、この業界に引き寄せられました。

Sanamahiの見本帳(メイテイ文字)


── ご自身のファウンダリである、brandnewtypeを設立した契機を教えてください。

NK: 世界では今までにないくらい、異なるアイデンティティーや文化背景を持つ人々同士で、様々なアイディアを共有したり、混ぜ合わせるということがなされています。マルチスクリプトの書体デザインとタイポグラフィにおいては、難しい局面もあります。“brandnewtype”をアナン・ナオレムと設立した理由は、研究、教育、デザインにおけるこの課題、特にインドの文脈、すなわち、欧文とインド文字の組み合わせ、インド文字同士の組み合わせに取り組むためです。


── なぜ、brandnewtypeという名前にしたのですか?

NK: “brandnewtype”という名前の基本的なコンセプトは、ブランドのタイプフェイスを強調し、注力することです。「新しいタイプ(new type)をブランド(brand)する」「新しい(brand new)タイプ(type)」の二つの意味として捉えることができます。タイプは企業、組織、個々のコミュニケーションに大きな影響を与えます。だから“brand new type”なのです。

ニーラカシュとアナン


インドの文字体系の大部分をカバーするマルチスクリプトプロジェクト

── 公開可能な範囲で現在取り組んでいるプロジェクトを教えてください。

NK: インドの文字体系の大部分をカバーするマルチスクリプトプロジェクトに取り組んでいます。


── デザインしてみたい言語はありますか?

NK: 私にとって身近ではない言語の文字はたくさんありますが、そういった言語のデザインができたら楽しいと思います。難しいこともあると思いますが、ワクワクします! 日本語、中国語、韓国語は、謎の塊です。CJKプロジェクトに携わり、その魅力的な形、歴史、それぞれの関係性を学ぶことができたら嬉しいです。


── 仕事前のルーティーンなどはありますか?

NK: 特に決まったルーティーンはありません。ですが、面白いアイディアから取り組み始めると、一貫したベースグループが確立するまでプロセスを継続します。そして、そのアイディアから残りのファミリーにも広げます。

Sanamahiの最初のスケッチ(メイテイ文字)


── 毎年参加するタイポグラフィのイベントはありますか?

NK: 毎年ではありませんが、ATypI、TypoDay、Typographicsなどに参加したことがあります。今年はATypI 2019 Tokyoに参加することを楽しみにしております。

Frijky:ATypI Reykjavik 2011で使用された書体


── ATypI 2019 Tokyoに期待することを教えてください。

NK: アジア地域のスクリプトの作品やマルチスクリプトプロジェクトを見たいです。現地の話題に特化した、タイプや文化のパネルディスカッションにも参加したいですね。多様性に触れられることを楽しみにしています。

Fiona Ross、John Hudsonと共同でデザインした書体、Bengali


── 紅茶派? コーヒー派?

NK: ラテです!

Bengaliの‘Ka’という文字を描く様子

2019年6月15日

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type.center編集部

type.centerの編集部です。文字関連イベントをレポートしたり役立つ情報を発信できるよう努力してまいります。よろしくお願いします。

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