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マシュー・カーター氏「Optical scale in type」

モリサワ文字文化フォーラム「WE LOVE TYPE 2」

マシュー・カーター氏「Optical scale in type」

2014年11月6日に開催された第15回モリサワ文字文化フォーラム「WE LOVE TYPE 2」のレポート、サイラス・ハイスミス氏に続いて、最後となったセッション3-2「Optical scale in type」(タイプデザイナー:マシュー・カーター氏)を紹介する。


セッション3-2「Optical scale in type」

タイプデザイナー マシュー・カーター氏

最後のセッションでは、マシュー・カーター氏が「Optical scale in type」をテーマに、タイプフェイスのデザインとサイズについて講演した。


使用する文字サイズによりデザインを最適化したタイプフェイスを紹介

まず、ライノタイプ社の「Monticello」というタイプフェイスの10ポイントのドローイングをスクリーンに映し出し、「これは1944年のもので、当時タイプはすべて金属製だった。Monticelloは書籍用のタイプフェイスとして使われていたが、当時の活字は使用するポイントにあわせて文字を読めるように最適化する必要があった」と説明した。

こうした考えを取り入れた現代のデジタルタイプフェイスの事例として、「Sitka」というタイプフェイスを紹介。「これは私が責任者としてマイクロソフト社とともに作り出したもので、2年ほど前にリリースされた。Sitkaには、Monticelloと同様のコンセプトが採用されている」と述べ、6ポイントから36ポイントまでの6つのマスターサイズを同じ大きさにして並べたものをスクリーンに映し出し、その違いについて解説した。

続いて、「Vincent」というタイプフェイスを紹介。これはNewsweek紙のために制作したもので、はじめは本文、見出し、サブヘッドの3種類を制作依頼されたが、最終的には大見出し用、本文で使える太文字、白抜き用などの制作依頼も受け、最終的に6種類のシリーズになっている。

続いて、1990年代半ばにデザインした「Miller」を紹介。ディスプレイ用とテキスト用、ふたつのデザインを比較しながら、「ディスプレイ用は大きく使われるために装飾性を持たせており、一方、テキスト用は読みやすさを重視し、より合理的なデザインになっている」と説明した。また、「Miller」の別バージョンとしてボストン・グローブ社のためにつくった大見出し、中見出し、小見出し用の3つの「h」を同じサイズで重ねてその差を見せると、「セリフの形や丸みの高さ、ステムの幅が微妙に異なっている。タイプデザイナーはこうした微妙なところを理解して、デザインしなければならない」と語った。

また、特定のサイズでしか使用されないタイプフェイスとして、1978年にアメリカの電話帳向けにつくったという「Bell Centennial」を紹介。「ミニチュア化のひとつの試みだった。確か最大でも6〜7ポイントだったと思う。小さなサイズでも識別できるのが特長である」と説明。スライドで、同じテキストを「Helvetica」とともに映し出し、小さな文字でも読み間違えず、読みやすい、その書体の特徴について解説した。


大きなサイズ用のフォントはデザインにおいても有利に

最後にディスプレイ用書体「Big Caslon」「Big Moore Roman」を紹介。これは大サイズ用につくられたフォントのため、小さいサイズでは使用することはできないが、「大きなサイズでしか使われないということはデザインにおいても非常に有利に働き、テキスト用では行われないような合字なども取り入れることができた」と語った。


2015年2月26日

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人物プロフィール

M
Matthew Carter

タイプデザイナーであるマシュー・カーターは、この50年間、それぞれの時代に進化する文字生成技術を駆使して手彫りの活版文字からコンピュータフォントまでの書体をデザインしている。 ライノタイプ社と長年に亘る取組みの後、1981年にデジタルフォント制作のビットストリーム社を共同で立上げ、10年後にシャリー・コーンと共同経営のカーター& コーン・タイプ社(マサチューセッツ州ケンブリッジ)をスタート、社長に就任、現在に至る。オリジナル書体開発のデザイナー及びプロデューサー。

ITC Galliard、Snell Roundhand、Shelley scripts、Helvetica Compressed、Olympian(新聞用書体)、Bell Centennial(アメリカの電話帳用)、ITC Charter、ギリシャ文字、ヘブライ文字、キリル文字、デバナーガリ文字などの書体をデザイン。

カーター& コーン・タイプ社設立後は、Mantinia、Sophia、Elephant、Big Caslon、Alisal 、 Miller などの書体を手がけている。 2011年にはモノタイプ・イメージング社から Carter Sans をリリースした。

カーター& コーン・タイプ社は、「タイム」「ニューズウイーク」「ワイアード」「US ニューズ& ワールドレポート」「スポーツ・イラストレイテッド」「ワシントンポスト」「ボストン・グローブ」「フィラデルフィア・インクワイヤー」「ニューヨークタイムズ」「ビジネスウィーク」「ル・モンド」などの新聞や雑誌に加え、ウォーカー・アートセンター、MOMA、イェール大学、ハミルトン・ウッドタイプ・ミュージアムの書体デザインを委託制作。

90年代の中頃から、マイクロソフト社のスクリーンフォントシリーズのデザインに取組み、コンピュータのモニター上で出来る限り読み易さを追求した書体開発を行った。その中で、Verdana、Tahoma、Nina(携帯デバイス用圧縮書体)はサンセリフ、Georgia はセリフ書体である。

ロイヤル・デザイナー・フォー・インダストリーの一人であり、アートディレクターズクラブ(NY)の殿堂入りを果たした。イェール大学グラッフィックデザイン科上級講師も長年に亘って務める。クライスラー賞、AIGA 金賞、タイプディレクターズクラブ金賞、マッカーサーフェロー賞に加え、2011年には、スミソニアン・クーパー・ヒューイット国立デザインミュージアムから今までのデザイン界への貢献を讃え、ナショナルデザイン賞の栄えある特別賞を受賞。

モリサワ文字文化フォーラム「WE LOVE TYPE 2」

type.center編集部

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