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リロン・ラヴィ・トゥルケニッチさん(イスラエル)

世界のタイプ道

リロン・ラヴィ・トゥルケニッチさん(イスラエル)

 世界各地にひろがるタイポグラフィーの世界を覗いてみませんか?

当連載「世界のタイプ道」では、世界各地の書体デザイナー、プログラマー、教育者、ベンダー、そしてこの書体を愛するコミュニティの基礎を支える多彩な方々へのインタビューを通して、タイポグラフィーという世界の魅力をお伝えしていきます。

今回はイスラエルのデザイナーおよびリサーチャーであり、ATypI 2019 Tokyoではシニアイベントコーディネーターを務めるリロン・ラヴィ・トゥルケニッチさんにお話を伺いました!


── ご自身について教えてください。

リロン・ラヴィ・トゥルケニッチ

リロン・ラヴィ・トゥルケニッチ(以下、LLT): フリーランスのデザイナーおよびリサーチャーとしてイスラエルで活動しており、タイポグラフィに関する様々な仕事に関わっています。ヘブライ語を専門とし、マルチ言語書体をデザインしています。特に取り上げたいのはAravritです。Aravritはヘブライ語とアラビア語を統合させた実験的なハイブリッドの文字体系です。この文字体系に対するアイディアと適応する言語範囲が広く評価されています。

デザイン以外にも、文字に関する執筆、デザイナーインタビュー、教育、ヘブライ語文字の研究を行なっています。また、Alphabettesメンターシッププログラムを主催し、定期的にブログ記事を投稿しています。そして、ATypIのシニアイベントコーディネーターとして、毎年開催されるカンファレンスや定期的な活動を運営しています。レクチャーやワークショップを通じて世界中に私の知識や経験を共有することが好きです。色々な場所に行くこと、人と話すこと、そして埃が積もるほど古いアーカイブからタイポグラフィの宝を見つけ出すことが大好きです。


複数プロジェクトに関わり様々なアングルからタイポグラフィに触れることは各プロジェクトの進展に欠かせないこと

── この業界に入ったきっかけを教えてください。

LLT: タイプデザインとの出会いは偶然でした。グラフィックデザインの学士号1年生だった頃、タイポグラフィについて学び始めました。周りのみんなは文字をコピーして配置することに不満そうにしていましたが、私はとても楽しんで取り組んでいました。書体デザインが専門的な分野であることを知った時、すべてがマッチしなぜ、そもそもデザイナーになりたかったのかがようやくわかりました。私はもともと文字や言葉が好きでしたし、ビジュアルシンカーとして、タイプデザインは私にぴったりな分野だと思いました。

ヘブライ語、欧文、アムハラ語のマルチ言語フォント


── 様々なことに取り組まれていますが、最近はどのようなことを主にされていますか?

LLT: 複数プロジェクトに関わり様々なアングルからタイポグラフィに触れることは各プロジェクトの進展に欠かせないことです。私はイベント運営、登壇、執筆、デザイン、研究、教育指導をしているとクリエイティブな思考になり、エネルギーが湧いてきます。毎日が違いとてもダイナミックです。子供の時から飽きることなんてありませんでしたし、活気に満ちた日々を送ることができていて、とても恵まれていると思います。


── 公開可能な範囲で現在取り組んでいるプロジェクトを教えてください。

LLTAravritについてぜひお話したいです。とても大きなプロジェクトで、プロジェクト開始から既に7年たっていますが、終わりに近づくことはありません。アラビア語は私の町だけでなくイスラエル全土に不可欠であるべき言語ですが、私自身、アラビア語を読むことができないことに気づいてから、行動を起こさなくてはいけないと感じました。そして、ヘブライ語とアラビア語を組み合わせたハイブリッドな文字体系をデザインしました。ヘブライ語を話す人、アラビア語を話す人の両方が同時に読むことができる文字体系です。

このプロジェクトはイスラエルの国境を越えて広がり、デザインを通じて変化を生み出す可能性と人生のメッセージを一緒に送るプロジェクトとして広く知られるようになりました。日本を含む世界中にオーディエンスがいて嬉しいです。

Aravritで「エルサレム」


人々と出会い、「現実世界」やあらゆる機会に触れる

── 好きなアルファベットを教えてください。

LLT: “O”ですね。一見簡単にデザインできそうに見えますが、とても複雑で無限の可能性があります。


── 仕事前のルーティーンなどはありますか?

LLT: 私は生産性システムを試してみることが大好きです。これまでにあらゆるシステムを試しました。最近のお気に入りは、1日のタスクを重要なもの三つに絞ることです。タスクは前の夜か朝に決めておき、すぐに取りかかれるようにします。2人の小さな娘を持つ母親としても、とても生産的に仕事することが求められます。机を整理して美味しい良いコーヒーをいれるも欠かせませんね。


── 初めて参加したATypIはいつですか?

LLT: 最初に参加したATypIは2013年のアムステルダム開催の大会でした。それ以降で行かなかった大会は1回だけです。2013年のアムステルダム大会の時、私はレディング大学でタイプデザインの修士課程を卒業したばかりで、私にとってとても刺激的な大会でした。人々と出会い、「現実世界」やあらゆる機会に触れる準備ができていました。


── どのようなきっかけでATypIのシニアイベントコーディネータになられたのですか?

LLT: ATypIに関わりたいと常々思っていました(イスラエルでは様々な機会でイベントを開催しました)。alphabettes.orgで印象的な女性たちにインタビューをした後、Marina Chaccurが2016年のワルシャワ開催のATypIで講演者にインタビューをしないか、と声をかけてくれました。インタビューは無事行うことができ、Marinaは次のステップへと進もうとしていました。MarinaとTamyeは、私にMarinaの後任になることを提案してくれました。素晴らしい機会に恵まれたと今でも思っています。

Aravritで「水」© Liron Lavi Turkenich


── ATypI 2019 Tokyoに参加されるみなさんへメッセージをお願いします。

LLT: 日本のタイプコミュニティのことを知りたいです。このカンファレンスでは新しい友達や仲間と出会うことができます。お互いの仕事の類似点や相違点を知ることで、何かを得ることができるまたとない機会です。ATypI 2019 Tokyoでは素晴らしいプログラムを用意しており、今までで最高のカンファレンスになるよう精一杯準備しています。


── 紅茶派? コーヒー派?

LLT: コーヒーです!

2019年8月14日

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世界のタイプ道

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