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第1回:見本帳の書体ちょう使いたい! の巻

フォン太とアーツ郎の、FONT and LAW!

第1回:見本帳の書体ちょう使いたい! の巻

フォン太君 はフリーランスのグラフィックデザイナー。好きな飲み物はファンタ。

アーツ郎君 はフォン太君の友達の若手弁護士。アートやデザインなどにも興味がある。週末のトレーニングは加圧法。

なにやらデザイン作業中のフォン太君、何冊かの書体見本帳をかかえてアーツ郎君のところにやってきました。


もじもーじ。

おや、フォン太君、どうしたのもじもじして。

いや、電話かけてるつもりなんですけど。もじもーじ、って。

電話も何も、面と向かいあってるじゃないか。

そんなこと言わなきゃ読者には分からないでしょ、雰囲気だよ雰囲気。

フォン太君、意外にもムード重視の人なのね。

もじろんです!

そもそもこの連載が何なのかハッキリしないまま、フォン太くんのモジ推しで進んでる気もするんだけど、きょうはいったい何の用事?

よくぞ聞いてくれました。

聞かないと進まないからね。

ていうか、この連載、ロゴが無いじゃん!?

あ、ほんとだ。

で、ロゴ作ったほうがいいかなーと思ってね。

さすがデザイナー。そういうところは気がまわりますな。

んで、ロゴのイメージを探しに図書館にいったら、レタリングの一覧集みたいな本があったのよ。

あー、ありますね。ひらがなとかカタカナ50音がきれいに並んでいたりするやつ。

あと、モンセンとかね。

お、センモン的なこともよく知ってるねえ。

ダジャレなのか業界用語なのかよく分からないこというねぇ。だけどモンセンもいまは古本でもなかなか手に入りにくくなったでしょう。

で、そこに載ってる字って、フォントになっていないし、その清刷りきれいだし、ロゴ程度の文字数だったらスキャンしてトレースしてもそんなに手間じゃないんで、そうして使おうかと思ったワケよ。

ほう。

んでさ、これスキャンしてトレースして、そのまんま使ったら叱られるのかね?

まず、その本に、使用にあたっての条件が書いてあるか否かをチェックすべきだね。

たとえばマール社ってとこが出してる『ディスプレイ書体シリーズ』なんていうのは、「トレースしたり切り貼りして版下にしてオッケー」ってのっけから書いてある。

リンク先の書きっぷりからすると、特に連絡したりお金を払ったりしなくても使用できそうにも読めるけど、どうなのかなぁ。明確に、無償、と書いていないので、一応確認は取った方が良さそうだ。

こっちの『3Mサイン書体シリーズ』(美術出版社)も、書体見本帳ではあるけど、「より多くの人達の自由で幅広い使用を期待している」ってことで、あれこれ利用していいみたいこと書いてあるよ。 ただし、「商品化する場合、その他上記に類する使用の場合はご連絡下さい。禁無断使用」とはなってる。

「使用するにあたって連絡が必要」だけでは、無償で使わせてもらえるのか、それともライセンス料の支払いが必要となるのかわからないね。使い方によっては、無償でよいとなることもあるのかもしれない。

『レタリングサンプル 明朝体+ゴシック体 13,579字』(鳳山社・平成3年)には「サンプル文字の原字(石井書体)の著作権は写研が有しています」と書かれている。著作権、ね。詳しくは分かんないけど勝手に使っちゃダメなんだろうなぁという気はする。

ん、どうだろう…。まあ、著作権についてはまた後で説明するよ。

『レタリングデザイン』桑山弥三郎 著/グラフィック社

一方で、この『レタリングデザイン』(桑山弥三郎 著/グラフィック社)は、そういうことが書かれてないんだけど、いいかんじの書体見本がたくさん並んでるの。写研やモリサワの明朝体とか、朝日新聞の新聞活字とか。三菱電機とかシェル石油の制定書体なんかも載っててカッチョイイナーって。

どれどれ。ほんとだ、かっこいい!

制定書体〈シェル石油〉桑山弥三郎 1964。手前は制定書体〈三菱電機〉榊原 晋 1968(『レタリングデザイン』桑山弥三郎 著/グラフィック社 より)

カッチョイイから使ってみたい! とか思うっしょ。んで、何も書いてないってことは、勝手に使ってもいいかなーとかこっそり思っちゃったりするワケよ。こういった何も指示が書いてない本の場合は、どうなの?

これは簡単には答えられないけど大事な問題だよね。それじゃ、次回から、書体にまつわる著作権その他の法的な問題を一緒に考えてみよう。

うわっ、本題に入らないで前振りだけで終了かい!!!


【なんと、第1回はここで終了。次回いよいよチョサクブツの謎に迫ります!】

2014年10月15日

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フォン太とアーツ郎の、FONT and LAW!

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Arts and Law

2004年に設立された、文化活動を支援するためのNPO(任意団体)。美術、工芸、デザイン、音楽、映像、映画、出版、建築、ファッション、パフォーミングアーツなど、あらゆる文化活動に携わる人々を対象に法的なアドバイスを提供しています。弁護士、公認会計士、税理士、司法書士など様々な分野の専門家が、プロボノ=ボランティア活動として所属しています。本連載は所属している弁護士の水野祐、倉崎伸一朗、高崎俊が担当しています。
http://www.arts-law.org/

なお、本連載で興味をお持ちいただいた方は、雑誌「アイデア」(No.363)の『タイプフェイスと知的財産権』も、ぜひご覧ください。

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